こんにちは、カナちひ(@kana_chihi)です。
旅先の思い出をスマホで撮ってきたのに、戻って映像を見たら手振れで台無し、という経験はありませんか?
もちろんスマホのカメラにも手ぶれ補正機能はあるけど、明るさや撮影環境に左右されずに安定した動画を残したいならやはりスマホジンバルを使うのが一番です。
「でも難しそうだし、荷物になるのも…」という人におすすめしたいのが、今回紹介する『Insta360 Flow Pro』。
このスマホジンバルはとにかくiPhoneとの親和性が高く、NFCによるワンタッチペアリングや標準カメラアプリでのトラッキング(被写体追従)、MagSafeを使った簡単マウント※など、面倒な準備や設定を極力排除したユーザーライクな設計になっています。※別売りオプション
- iPhoneで高品質な動画を撮りたい
- AI搭載の高機能ジンバルが欲しい
- でも設定とか面倒くさいのは無理
- 自撮り棒や三脚も使いたい
- コンパクトに持ち運びたい
- iPhoneをMacのWebカメラとして使いたい
この記事では、そんな「Insta360 Flow Pro」の魅力や機能性、実際に使ってみた感想など、利点・難点を交えながら詳しくレビューしていきます。
Insta360 Flow Pro とは?
スマホジンバルの必要性
この記事に辿り着いた人の中にはきっと購入前の僕と同じように、気にはなりつつも「今のスマホに本当にジンバルが必要?」と感じている人もいるはず。
そんな人のために実際に使ってみた素直な感想を伝えるなら「必須じゃないけど、失敗が減る」ということ。
例えば映像の一部がクロップされたり、暗所で精度が落ちるといったデジタル補正の弱点をカバーしたり、走りまわる子供やペットを常にフレーム内に収め続けるといった手持ち撮影では難しいシーンも、スマホジンバルなら簡単に解決することができます。
また、スマホを固定した状態で任意の被写体を追従したり、旅先などでそのシチュエーションを楽しみたいときの「ながら撮影」などジンバルを使う利点も多く、スマホで動画を撮るなら一台は持っておいても損はないアイテムだと思います。
- 物理的な手ブレ補正で外部環境に左右されにくい
- パン、チルト、ロールなど動きのある撮影が可能
- 長時間の撮影でも疲れにくい
- AIトラッキングなど自動追尾機能が充実
- 手持ちでは難しいアングルでの撮影ができる
特徴と他社製品との違い
そんなスマホジンバルの中でも格別な機能性を誇る「Flow Pro」は、アクションカメラやWEBカメラでもお馴染みの「Insta360」から2024年7月に発売された最新のプロダクト。
最大の特徴は何といってもスマホジンバルとして初の「Apple DockKit」を採用。これまでのジンバルでは自社開発のカメラアプリでのみに限定されていたAIトラッキング機能が、iPhoneの標準カメラアプリでも使えるんです。
それはつまり、サードパーティ製のiOSカメラアプリも同様※ということ。
シネマライクな映像表現で人気の「Final Cut Camera」や「Blackmagic Camera」はもちろんのこと、iPhoneをMacのWebカメラとして使える「連携カメラ」でも、以前紹介した「OBSBOT Tiny 2」さながらに常に自分の姿をフレームに収めてくれます。
その他にも、iPhoneをかざすだけで連携可能な「NFCペアリング」や、横方向に無限に回転できる「360°トラッキング」など「Flow Pro」だけの機能が満載で、今後のスマホジンバル選びの有力な選択肢になることは間違いありません。
「DJI Osmo Mobile 6」との機能比較
商品名 | Flow Pro | Osmo Mobile 6 |
---|---|---|
商品画像 | ||
メーカー | Insta360 | DJI |
3軸手ブレ補正 | ||
クイック起動 | ||
内蔵自撮り棒&三脚 | (三脚は外付け) | |
AIモバイル編集 | ||
NFCペアリング | ||
iPhone標準カメラトラッキング | (Apple DockKit対応) | |
トラッキングライト | ||
360°無限トラッキング | ||
AIトラッキング | ディープトラック3.0 動物追跡 | ActiveTrack 6.0 |
連続録画時間 | 約10時間 | 約6.5時間 |
可動域 | パン:360度連続回転 ロール:-150°〜180° チルト:-100°〜82° | パン: -161°~173° ロール : -120°~211° チルト:-101°~78° |
サイズ | 収納時:79.6×162.1×36.0mm 伸張時:73.6×269.4×69.9mm | 展開時:276×111.5×99 mm 折りたたみ時:189×84.5×44 mm |
重量 | ジンバル:約366g スマートフォンクランプ:約32g | ジンバル:約305g スマートフォンクランプ:約25g |
自撮り棒の長さ | 215mm | 215mm |
対応スマートフォンサイズ | 厚み:6.9 – 10mm 幅:64 – 84mm 重さ:130 – 300g | 厚み:6.9 – 10mm 幅:67 – 84mm 重さ:170 – 290g |
実勢価格 | ¥19,800 | ¥18,040 |
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Insta360 Flow Pro デザインと操作性
ということで、さっそく実際の商品を見ながらデザインや操作性をチェックしていきます。
パッケージや付属品
まずパッケージについてはこんな感じ。特に特筆すべき点はありませんが、結構しっかりした高級感のある箱ですね。
通常版の中身は、ジンバル本体とグリップ、スマホを取り付けるクランプとUSBケーブルくらい。
プラス4,000円でアウトドア三脚が付いたキットも選べますが、価格差ほどの価値を感じなかったので僕はこちらを選択しました。
- Insta360 Flow Pro 本体
- 磁気スマートフォンクランプ
- グリップカバー
- 保護ポーチ
- Type-C to A 充電ケーブル
- ユーザーガイドなど
アームを展開するだけのクイック起動
さっそく「Flow Pro」本体を取り出してみると、お、結構重い。見た目より重厚感があって丈夫そうです。
一応電源ボタンはありますがこの状態では起動せず、アームを捻って伸ばすことで起動しスタンバイ状態になります。
ちょっとグリップが短い気がしますが、自然に手にフィットする握り心地はなかなかいい感じ。
このままでも充分そうですが、滑りそうな場合は付属のグリップをつけると太さが増してより安定感が増します。
ボディ内に三脚と自撮り棒を内蔵
ジンバルのグリップ内はバッテリーというのがだいたいの相場なんですが、「Flow Pro」は三脚と自撮り棒が収納されています。
「じゃあ、Flow Proのバッテリーはどこ?」というと実はアーム部分にあります。これ、一見何気ないようですが、左右方向に360°無限に回転する際に配線が内部で捻じ切れないための機構なんですよね。
ホントよく考えられています。
三脚部分は閉じることで延長グリップにもなる2wey仕様。多少フラつきはしますが、まあ倒れることはなさそう。
先ほどの小指あまりも、グリップを延長すればだいぶ持ちやすくなりますね。
iPhoneをかざすだけでペアリング可能
噂のNFCによるペアリングはここから行います。前準備などはなくシンプルにiPnoneをかざすだけ。
もちろん一度ペアリングしてしまえば、次回からは自動的に繋がります。
Androidの場合は、普通にBluetoothで接続します。
マグネットクランプでマウントも簡単
付属のクランプはスマホを挟み込むタイプ。写真では分かりませんが、パーツでボタンを押してしまわないような構造になっています。
「Flow Pro」にはマグネットでバチっと留まります。
別売りですが、MagSafe対応の専用マウントを使えばクランプで挟む手間すらなくなるので、iPhoneメインならおすすめ。
磁気マウント(別売り)
操作は片手だけで完結
iPhoneの設置が終わったらいよいよ撮影、ということで操作パネルの主な操作方法は以下の通り。
パネル部分をスワイプすることでジンバルモードの切り替え、周囲のリングを回すことでズームイン/アウトも可能※です。※Insta360アプリのみ
シャッターボタンでの録画開始/停止はiPhone標準アプリでは使えるけど、「Final Cut Camera」では作動しないなど仕様するアプリによって一部挙動が異なるみたいですね。
アームは着せ替え可能なスケルトン仕様
アームの外側部分は、ガジェット好きには堪らないスケルトン仕様。ついつい見入っちゃうのは僕だけでしょうか。
付け根部分はアクセサリーシューになっているので、外部マイクなどをマウントしたい時には便利です。
バッテリーの部分にインサートを差し込んで見た目をアレンジできるのも面白いですよね。
iPhoneの充電も可能
容量も限られているので常用はできませんが、「Flow Pro」からスマホの充電も可能です。
バッテリー容量が2900mAhとやや心許ないけど、それでもいざという時の保険程度にはなるかと。
充電ポートと給電ポートが異なる点は注意が必要です。(アーム側がOUT、グリップ側がIN)
Insta360 Flow Pro レビュー
ひと通り機能性を紹介したところで、では実際にどこら辺が凄いのか、実際使用してみた感想を紹介します。
手ぶれ補正やトラッキング精度が高い
まずは肝心の手ぶれ補正やトラッキングの精度についてですが、これはもう文句の付けようがありません。
下の動画はiPhone標準アプリで普通に歩いて撮っただけですが、まるで大型の3軸ジンバルを使って撮影したかのように滑らかに風景が流れていくのがわかると思います。
トラッキングに関しても、ほぼ完璧に対象を捉え続けてしてくれます。
Insta360アプリとそれ以外では少し挙動が異なるのですが、前者であれば一時的に何かの影に入ったり人とすれ違っても被写体を見失うことはありません(顔に限らず、選択した対象をしっかり追従)。
逆にその他のカメラアプリでは、すれ違った人にターゲットを引っ張られる場合もありましたが、ここら辺はDockKit側の問題なので仕方がない部分かも知れません。
いずれにしてもこのサイズで、ここまでの精度が出せるというのには正直驚きました。
とにかく準備がラクすぎる
撮影までの準備が早いのも「Flow Pro」の魅力。
iPhoneをかざしてNFCでペアリングしてしまえば、カメラ用のジンバルのようなバランスを取ったり、キャリブレーションを行う必要もなく、すぐに撮影を始められます。
あと、やっぱり自撮り棒や三脚が内蔵されているのもめちゃくちゃ便利なんですよね。時短になるし、荷物も減ります。
一眼レフ用のジンバルと違い、もともと比較的多機能なスマホジンバルですが、ここまで至れり尽くせりだともうカメラで撮るのがイヤになっちゃいそうです。
コンパクトで携帯性抜群
加えてコンパクトな「Flow Pro」は機動力もなかなか。
クランプ部分を外せばほぼ長方形になるので、カバンの中でも収まりがいいし、ポケットに突っ込んでおいてもそれほど邪魔になりません。
サイズ的には簡単に持ち歩けるので、ちょっとしたお出かけの際に連れて行けるのは嬉しいですよね。
Insta360アプリのAI機能がすごい
「Flow Pro」の一番の特徴を挙げるなら、間違いなく自社アプリ以外でも使えるトラッキング機能ですが、それでもこのスマホジンバルの性能を引き出す上では「Insta360アプリ」の活用は外せません。
中でも「コレは面白い!」と思ったのが、仕上げたいシチュエーションに合わせて構図から動きまで撮影をサポートしてくれる「編集ジーニー」という機能。
表示されたテンプレートに沿って撮影していけば、まるでプロの映像クリエーターのような作品が出来上がるし、何より撮影表現の勉強にもなるから結構おすすめ。
ガイドに沿って撮影を進めるだけ!
編集機能もかなり充実していて、 使いたい動画ファイルをいくつか選ぶだけでイメージに合わせて自動編集もしてくれます。
AI 編集テンプレートFlashCutで作成したサンプル映像
自動編集した映像はそのまま2次加工も可能です。
基本構成はInsta360アプリに任せてテキストの追加や仕上げだけ好みに調整すれば、簡単にオリジナルのショート動画が作れるから、InstagramやTikTokの投稿用にもぴったりですよね。
無料のアプリですが、多彩な編集機能やトランジションやエフェクトも充実していて単体の動画編集アプリとしてもかなり優秀です。
Macと連携して最強Webカメラに
macOS Venturaから実装された「連携カメラ」を使えば、iPhoneをMacのWebカメラにできるのですが、そのカメラスタンドとしての活用も非常に便利です。
zoomやTeamsなどでのオンライン会議でも自分の姿を常に追従してくれるから、プレゼン時に動きを加えるなど印象に残る映像配信が可能です。iPhone本来の画質の良さと合わせかなり質の高いWebカメラに変貌します。
惜しむらくは何かと活用できそうなジェスチャー機能には対応していない点。この辺りもInsta360アプリ並みに使えればその他のWebカメラを駆逐できるほどの強力なツールになりそうなのですが…
Insta360 Flow Pro の気になるところ
ここまでベタ褒めしちゃうと逆に気になるのがウィークポイント。安心してください、ちゃんとありますよ。
重さがあり長時間撮影はしんどい
まず一番気になったのが、その重さ。
クランプとiPhoneを合わせると約600gとペットボトルの重さを超え、しかも先端に重さが集中するので特にアームを伸ばしながらの撮影は結構しんどいです。
持ち手の短さは内蔵スタンドを出すことである程度補えるのですが、それでも両手で持つには短く、必要に応じて持ち手にもなる「アウトドア三脚」を用意しても良いかも。
Androidでは性能をフルに発揮できない
Insta360アプリでの撮影はiPhoneと変わらないのですが、DockKitが使えないのでその他Androidカメラアプリでのトラッキングはできません。
iPhoneとAndroidで使える機能を比較
iPhone | Android | |
Insta360アプリでのトラッキング | ||
iPhoneカメラアプリでのトラッキング | ||
その他アプリでのトラッキング | ||
Insta360アプリ以外での手元操作 | ||
NFCペアリング |
まあ、iPhoneでも「Flow Pro」の機能をフルに使えるのはInsta360アプリだけで、明確なデメリットと言うほどではないのですが、このカメラジンバルの最大の特徴を享受できないことは覚えておきましょう
防水機能がなく雨天時の撮影には注意
僕が調べた限り、そもそも防水仕様のスマホジンバル自体がほぼ存在しないのですが、「Flow Pro」も同様に雨天時や水濡れの可能性のあるアクティビティには使えません。
最近のスマホは全天候型だからといつもの感じで撮影しちゃうと、うっかり壊してしまいかねないので注意が必要ですね。
まとめ
この記事では、優れたAIトラッキングや自動編集機能を備えた最新スマホジンバル『Insta360 Flow Pro』を紹介しました。
基本の手ぶれ補正やトラッキングの精度だけを見てもかなり性能が高く、Apple DockKitの採用など他にはない機能性も含めると、2024年8月現在最強のiPhone用スマホジンバルと言っても過言ではありません。
Androidユーザーの場合は享受できる機能は少なくなりますが、2万円という価格さえ納得できればその他のスマホジンバルに劣る部分はないと思うので、気になった人はぜひチェックしてみてください。
以上、カナちひ(@kana_chihi)でした。
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