最近あちこちで話題になっている、モバイルバッテリーの発火・爆発事故。
2021年から2025年の4年半で起きた事故件数は登録されいるものだけでも約700件。特に昨年、山手線の車内で乗客5名が負傷した発火事故は記憶に新しいところで、それ以来僕も毎日バッグに入れて持ち歩くモバイルバッテリーは、できるだけ安全性の高い製品を選ぶようにしています。
そんなわけで今回紹介するのが、TORRASの新製品「MiniMag Pro(ミニマグ プロ)」。

圧倒的な薄さと、確かな安全性を両立する、半固体電池を搭載したモバイルバッテリーです。
ラインナップは5,000mAhと10,000mAhの2モデル。それぞれ毎日持ち歩くことを想定したサイズ感と実用性を備えていますが、容量以外にも若干仕様が異なります。
この記事では、そんな2つのMiniMag Proの特徴や、実際に使い込んでみて気づいた用途の違い、購入前に確認しておいて欲しい点など、わかりやすくまとめていきます。
TORRAS MiniMag Proとは|半固体モバイルバッテリーという新しい選択肢

「TORRAS(トラス)」は、洗練されたミニマルなデザインと実用性を高い次元で融合させたスマートアクセサリーを多数展開する、今ガジェット好きの間でも確かな信頼を集めているメーカーのひとつ。
今回レビューするMiniMag Proもそのコンセプトをしっかり受け継いだスタイリッシュなモバイルバッテリーなんですが、その内部には見た目だけでは気づかない、ある技術が詰め込まれています。
半固体電池という新しい選択肢
TORRAS MiniMag Proを語る上で欠かせないのが、バッテリーセルに安全性の高い「半固体電池」を採用しているという点。従来のリチウムイオン電池との違いは、内部で電気を蓄える「電解質の状態」にあります。
- リチウムイオン電池:電解質が液体(水分量が多い)
- 半固体電池:電解質がゲル状や粘土状(水分量が少ない)
この違いが、そのまま液漏れや発火のリスクの差に直結していて、半固体電池は構造的に膨張(ガス発生)のリスクがリチウムイオン電池より大幅に低い。
メーカーでの「釘刺し試験」の様子


構造体として余白などを少なく設計できることで、わずか8mmというスリムさもにも貢献しています。
ちなみに最近は「全固体電池」という言葉もよく耳にしますが、こちらは電解質を極限まで減らして文字通り「固体化」したもので、半固体はその少し手前、「ゲル状・粘土状」という立ち位置。
全固体はさらに高い安全性が期待できる一方、製造コストや量産技術の壁から一般製品への搭載例はまだほんのわずかです。つまり今、安全性を重視して選ぶなら半固体電池が現実的な選択肢となります。
ラインナップとスペック比較
TORRAS MiniMag Proには、容量の異なる2つのモデルがラインナップされています。
- 5,000mAhモデル:厚さわずか8mm。iPhoneと一体化するスリムモデル
- 10,000mAhモデル:最大30W出力。MacBookの緊急給電までこなす汎用性強化モデル
この2つ、ぱっと見では容量と厚さの違いくらいしか分からないんですが、その性格はかなり異なります。
| 5,000mAh(PB27) | 10,000mAh(PB28) | |
|---|---|---|
![]() | ![]() | |
| ワイヤレス出力 | 最大7.5W | 最大15W |
| 有線出力 (Type-C) | 最大20W | 最大30W |
| USB-C+ワイヤレス同時出力 | 最大10W | 最大15W |
| MagSafe吸着力 | 13N (N52ネオジム磁石) | 13N (N52ネオジム磁石) |
| 残量表示 | 5段階LED (4つ+ワイヤレス表示灯) | 1%単位LEDドットマトリクス |
| 外装 | アルミ合金+マット仕上げ | アルミ合金+マット仕上げ |
| サイズ | 100 × 69 × 8 mm | 103.6 × 70.1 × 14 mm |
| 重量 | 118 g | 195 g |
| 認証 | PSE / CCC / FCC / UL | PSE / CCC / FCC / UL |
| 価格 | ¥10,999 | ¥12,999 |
| Check | Check |
こうして並べてみると、選び方は結構シンプルで、5,000mAhモデルは薄さと軽さに全振りした、iPhone専用の外部バッテリー。
対して10,000mAhモデルは、高出力と1%単位で残量が分かるデジタル表示で、iPadやMacBookといった複数デバイスを一緒に持ち歩く人向けという印象。容量的にあくまで「緊急対応用」の印象ですが、出張や旅行先では転ばぬ先の杖として活躍してくれると思います。
デザインと質感
僕が安全性と同じくらい惹かれたのが、このデザイン性と質感。
高級感のあるアルミ合金の表面には上品なマット加工が施されていて、さらりとした手触りがとても心地良いんです。

側面には、光の当たり方で表情を変える金属的な光沢感があって、主張は強くないのにちゃんと存在感がある。この辺のセンスは、さすがTORRASといった印象です。

ロゴのある正面から見て、右側面に電源ボタン(1回押すとバッテリー残量表示、2回押すと電源OFF)。

下側にUSB-Cポートが用意されています(10,000mAhモデルは左側面に配置)。


バッテリー残量を示すLEDインジケーターはモデルごとに異なり、5,000mAhモデルは点灯するLEDの数で大まかな残量を把握する仕様、一方の10,000mAhモデルは1%パーセント単位の数値で表示されます。


裏面にはMagSafeの吸着位置と、仕様・取得認証マークを記載。国内販売に必須の丸形PSEマークもしっかり印字されていました。

パッケージと同梱品は以下のとおり。


- MiniMag Pro 本体
- USB Type-Cケーブル
- 取扱説明書
TORRAS MiniMag Pro レビュー|日常に溶け込む極薄MagSafeバッテリー

ここからは5,000mAhモデルを中心に、実際の使用感と検証結果を紹介します(10,000mAhモデルは後半で)。
iPhoneに吸い付く、絶妙なグリップ感
iPhoneの背面に装着して手に持った瞬間に感じたのが、その一体感の良さ。
厚さ8mm・118gというサイズ感は、普段愛用しているMOFTのMagSafe対応スタンドとほとんど変わりません。むしろ裸で使うより持ちやすいくらいで、丸みを帯びたエッジ加工も相まって、グリップ的な安定感があります。

装着したままスマホを操作してもズレる感覚はほぼなし。試しにMiniMag Proの端を持って強めに振ってみましたが、iPhoneが外れる気配は一切ありません。

個人的にMagSafe対応のモバイルバッテリーの良し悪しは「マグネットの強度と安定感で決まる」と思っているんですが、その意味でも、このモデルは十分に合格点です。
控えめな出力と、不安のない温度管理
充電出力という部分で、ワイヤレスで最大7.5Wというのは最近のMagSafe対応製品としては正直控えめ。
アプリでの計測ではなぜか、5,000mAhの総出力に近い18.3Wという結果でしたが、そもそも実際に運用する中で、「もっと早く充電して欲しい」と思う場面は意外と少ないんですよね。

理由はシンプルで、「薄くて邪魔にならないから、つけっぱなしでもストレスがない」から。
出力の低さにはもう一つの利点があって、それは充電中の表面温度が上がらないこと。実際にしばらく充電していた状態で温度を測ってみましたが、iPhoneを使いながらでも、40℃を超えることは一度もありませんでした。

これくらいの温度なら端末にダメージが入ることはないし、そのままポケットにしまっても低温火傷の心配もありません。半固体電池の安定した特性と相まって、信頼感がグッとましたポイントです。
ちなみに計算上、7.5WでiPhone 16 Proを0%から80%まで充電するのにかかる時間は、約2時間〜2時間半程度。外出先で使うモバイルバッテリーとしては十分実用的なスピードだと感じました。

「安心感」という名の付加価値
このモバイルバッテリーを使っていると、今まで無意識に抱えていた「小さな不安」から解放されることに気づきます。
例えば、真夏の暑い日にカバンの中に放り込んでおくとき。あるいは、うっかり落としてしまったとき。普通のリチウムイオンバッテリーだと「うわ、大丈夫かな…」と一瞬ヒヤッとするシーンでも、半固体電池のTORRAS MiniMag Proなら構造的に大丈夫、という安心感があるんですよね。

もちろん放り投げたり、車のダッシュボードに置きっぱなしにするなどの極端な状況は避けるべきですが、日常的な「うっかり」に対して、これほどの余裕を持たせてくれるのは、この製品ならではのメリットだと感じています。
結局のところ、薄さは正義
8mmという薄さは、「手に持って邪魔にならない」という話だけではありません。
まず、ポケットに入れてもシルエットを崩さない。小さなサコッシュにもスッと収まる。そんな「存在を感じさせない薄さ」が大事なんです。だからこそ、毎日、迷いなくバッグに忍ばせて出かけられるわけです。

僕自身、過去にはスティック型やサイコロ型など色々な形状のモバイルバッテリーを使ってきました。ただ結局はどれも可搬性がネックになって使わなくなってしまった経験から、「サイズより薄さを優先」というのが僕の結論。

MagSafeでワイヤレス充電するかどうかは別としても、この8mmという薄さ自体に大きな価値があると思います。
10,000mAh——「これさえあれば」という解放感

5,000mAhモデルが「日常の身軽さ」を極めたものだとしたら、10,000mAhモデルは「あらゆる不安からの解放」を約束してくれる頼もしい相棒です。
ノマドワークやちょっとした小旅行、あるいは「今日はiPadもMacBookも持ち歩いてガッツリ作業するぞ」という日。そういうとき僕は迷わずこちらをバッグに忍ばせます。

ちなみに、5,000mAh / 10,000mAhで充電できる目安の回数はこんな感じです。
| 5,000mAh | 10,000mAh | |
|---|---|---|
| iPhone 16 Pro(13.94Wh) | 約0.9回分 | 約1.8回分 |
| iPad Air M4 11インチ(28.93Wh) | 約0.5回分 | 約0.9回分 |
| MacBook Pro14インチ M2 Pro(70Wh) | 約0.2回分 | 約0.4回分 |
高出力がもたらす、出先作業の安心感
10,000mAhモデルを選ぶ理由のひとつが、有線接続時の最大30Wという出力。
iPad Airへの有線充電なら一般的な充電アダプタと遜色ない30Wで給電でき、実用的なスピードで充電が可能。

そしていざという時にはMacBook Proへの給電すらこなしてくれます。
さすがに半分も回復しませんが、外出先での作業中にPCのバッテリー残量が底をついてきたとき、これひとつあるだけでまったく安心感が違います。

カナちひ実際のところ、30Wという出力では作業中のMacBook Proではバッテリー残量を維持するか、ごくわずかに増える程度。それでも「ピンチを凌ぐ緊急対応」としては十分戦力になります!

1%刻みのデジタル表示が秀逸
そして、使ってみて地味に、いや、かなりありがたいと感じたのが、ドットマトリクスで再現されるデジタル残量表示です。
モバイルバッテリーは大容量になればなるほど、「LEDランプが2つ点灯しているけど、これは50%なのか、それとも26%なのか」という曖昧さが結構致命的になってきます。

その点、1%刻みで正確な残量が把握できるこの機能は、「あとどれくらい戦えるか」を明確に教えてくれるため、長丁場の外出では本当に頼りになります。
ただ一点、小さなパンチホールから光が溢れ出す珍しい構造でなかなかおしゃれなんですが、照度が低めで日中の屋外では少し見にくいのはちょっと気になるところ。あと、正面以外からはほぼ視認できません。

見るからに開発者のこだわりポイントであることは間違いないと思いますが、実用性を考えると普通の液晶画面で良かったかもしれません。
10,000mAhでもちゃんと薄い
これだけの容量と出力を備えながら、厚さはわずか14mmというのも結構驚き。
少し前なら、5,000mAhのモバイルバッテリーでもこれくらいの厚みがあったし、今使っている最小クラスの20,000mAhと比較しても、半分以下の薄さです。

さすがに5,000mAhのMiniMag Proと併用していると、どうしてもゴツく感じますが、半固体電池の恩恵でここまでスリム化されたことで、「念のため持っていくか」から、「普段から持ち歩く常用バッテリー」として昇華されたのは大きなメリットだと感じました。
カナちひ5,000mAhモデルとの価格差も2000円しかないので、iPhone以外のデバイスを一緒に持ち歩く人には、こちらがおすすめです。
購入前に知っておきたい「気になった点」

そんなわけで、完成度の高いTORRAS MiniMag Proですが、先進技術ゆえに気になった点もいくつかあります。
安心と価格のバランス
まず、購入時に一番ネックになるのが、おそらく価格です。一般的なリチウムイオン電池のモバイルバッテリーなら、数千円も出せば選択肢がたくさんあります。それに比べると、MiniMag Proは決して安いとは言えない価格設定。
実際、TORRASの同型モデルとの価格差もこんな感じになっています。
| 容量 | モデル | 価格 |
|---|---|---|
| 5,000mAhモデル | MiniMag (リチウムイオン電池) | ¥6,999 |
| MiniMag Pro | ¥10,999 | |
| 価格差 | +¥4,000 | |
| 10,000mAhモデル | MiniMag (リチウムイオン電池) | ¥7,999 |
| MiniMag Pro | ¥12,999 | |
| 価格差 | +¥5,000 |
まあ、これは半固体電池という最先端の安全性に対する投資として考えるべきポイントではありますが、「とりあえず充電できればいい」という人には大きなハードルになることは確かです。

一方で「毎日持ち歩くモノだからこそ安全性には妥協したくない」という人には、価格に見合う価値は十分にあると思います。
充電速度は割り切りポイント
先ほども少し触れましたが、MiniMag Proの出力がMacBookはもちろん、iPhoneやiPadの最大充電受入に届いていないという点も押さえておくべきポイントです。
テスト機材の充電仕様
| デバイス | バッテリー容量 | MagSafe受入 | 有線最大受入 |
|---|---|---|---|
| iPhone 16 Pro | 約3,577 mAh | 最大25W | 最大45W |
| iPad Air 11インチ(M4) | 約7,606 mAh | 非対応 | 最大60W |
| MacBook Pro 14インチ(M2 Pro) | 約18,800 mAh | 非対応 | 最大96W |
基本となるMagSafe充電もiPhoneの最大受入25Wに対し、5,000mAhモデルで最大7.5W。10,000mAhモデルでも最大15Wと控えめ。
さらにワイヤレス充電は構造的に変換ロスが多く、スペック上のバッテリー容量をそのままデバイスに移行できるわけではありません。
そもそもこのバッテリーのコンセプトが、「盛り盛りのスペックで爆速でデバイスを充電する」というものではないので、あくまで「家に帰るまでの急場しのぎ」として割り切るくらいの方が、期待とのズレが生まれにくいと思います。
カナちひ少なくともUSB充電器の代わりとして使うような運用は、速度、容量ともに不向きといえます。

未知数の耐久性
TORRAS MiniMag Proのサイクル寿命は公称で2,000回。これは一般的なリチウムイオン電池の約4倍にあたる耐久性ですが、気になるのが半固体電池搭載のモバイルバッテリー自体がまだ出始めの技術ということ。
実際に何年使えるか、どんな不具合が起きるのかは、僕自身もこれから検証していくことになります。

安全性において十分な検証がされている一方で、長期的な耐久性という意味では、まだ実績が積み上がっていないという点も購入前に把握しておいて欲しいポイントです。
まとめ

今回は「TORRAS MiniMag Pro」に実際に触れてみて感じた、新しい充電体験をまとめてみました。
圧倒的な薄さと、発火・液漏れリスクの低さがもたらす精神的な余裕。この「何も気にせず、ただ信頼して使える」ということこそが、このモバイルバッテリーの最大の価値であり、核心だと思っています。
それぞれのモデルが、どんなライフスタイルに向いているのかを整理してみました。
ガジェットはスペックの高さがそのまま優劣につながるケースが多いんですが、毎日持ち歩くモノに関しては機能性とデザイン、そして安心感が揃って初めて相棒と呼べる存在になります。
必要以上の重さや不安を削ぎ落とし、本当に大切な機能だけを残したMiniMag Pro。iPhoneの背面にピタッと吸い付くこの感触と、確かな安心感をぜひ体験してみてください。
以上、カナちひ(@kana_chihi)でした。




コメント