こんにちは、カナちひ(@kana_chihi)です。
先日ふと「本格的なピュアオーディオに触れたい」という衝動に駆られ、青山の「KEF Music Gallery Tokyo」に行ってきたんですが、そこで試聴したフラッグシップスピーカー「MUON」に心を揺さぶられ、思わず衝動買いしたのが今回紹介する『KEF LSX II LT』。

コンパクトなブックシェルフスピーカーとはいえ、「MUONのような逸品を生み出せるメーカー製品の音質に疑いようがない!」というのが購入の理由なんですが、実際に使ってみると想像以上に心地良いサウンドに大満足。
音質以外にもミニマルで美しいデザインや、Macでも使いやすいBluetooth/USB接続など、魅力あふれるプロダクトになっているので、実際の使用感も含め詳しくレビューしていきたいと思います。

KEF LSX II LT の概要
英国を拠点に数多くのオーディオ製品を手がけるKEF。日本でも昨年2023年12月にオープンした国内初のショールーム「KEF Music Gallery Tokyo」が大きな話題となりました。


KEFと言えばプロペラのようなデザインの「Uni-Qドライバー」が印象的ですが、スピーカーの主要パーツを一列に並べることで高域と中域を融合し、部屋全体に均等に音が行き渡る音場も特徴なんですよね。

KEF LSX II LTはPCスピーカー用に最適化されたエントリーモデルに当たりますが、そんな基本設計をしっかり受け継いでいて、コンパクトなブックシェルフ型ながらクリアで原曲に忠実なサウンドを届けてくれます。
スペックと仕様
型番 | LSX II LT | LSX II |
---|---|---|
外観 | ![]() | ![]() |
ドライバー ユニット | Uni-Qドライバー | Uni-Qドライバー |
内蔵アンプ出力 | ウーファー:70W ツイーター:30W | ウーファー:70W ツイーター:30W |
解像度 | 最大24bit/384kHz (DSD) | 最大24bit/384kHz (MQA/DSD) |
ワイヤレス再生機能 | AirPlay 2 Google Chromecast UPnP Compatible Bluetooth 5.0 | AirPlay 2 Google Chromecast UPnP Compatible Bluetooth 5.0 ROON Ready |
入力端子 | HDMI ARC TOSLINK光入力 USB Type-C RJ45イーサネット | HDMI ARC TOSLINK光入力 USB Type-C RJ45イーサネット アナログ3.5mm AUX |
出力端子 | RCA サブウーファー出力 | RCA サブウーファー出力 |
左右スピーカー接続 | USB Type-Cケーブル | RJ45ワイヤレス イーサネットケーブル |
電源 | プライマリのみに供給 | 両側に供給 |
サイズ | 240 × 155 × 180 mm | 240 × 155 × 180 mm |
重量 | 6.8kg | 7.2kg |
価格 | ¥137,500 | ¥198,000 |
基本設計はベースとなるKEF LSX II LTを踏襲していますが、電源や接続端子が簡素化されています。
僕自身もどちらにしようかかなり迷った部分なので、簡単に違いをまとめておきます。
KEF LSX IIとの違い
キャビネット構造やデザインがほぼ同じ「LSX II」と「LSX II LT」ですが、主に以下の違いがあります。
- 接続端子の種類
- セカンダリスピーカーへの電源供給
- MQAやRoon Readyの対応有無
- 左右のスピーカーの接続方法の種類
- 表面塗装方法
デスクトップスピーカーの位置付けであるLSX II LTは接続方法は必要最低限に絞ってあり、3.5mmAUX端子も省略されています。
また電源についても、LSX II LTのセカンダリは音声データと一緒にプライマリからUSB経由で供給する仕様になっていて、L/Rの連携も有線に限定されるなど運用面も異なります。
こだわる人は直接コンセントから繋ぐのを嫌うほど、スピーカーは電源の影響を強く受ける機材なので、左右それぞれ個別に電力供給を行うLSX IIと比較すると音の安定感はどうしても劣る印象。
塗装や仕上げに関しても、LSX II LTの側面は樹脂素材を生かしたプレーンな仕上げに対し、LSX IIはファブリック素材も選べるなど、わりとしっかり差別化されています。

とはいえ、スピーカーとの距離が近いデスクトップでそこまで音質に差があるかと言うと、正直僕はそこまで大きな違いは感じませんでした。というか、LSX II LTの音だってめちゃくちゃ良いですからね!
そんなこんなで迷った挙句、6万円の価格差ほどの違いはないかも?ということでLSX II LTの購入に至りました。

デザインと外観
そんなKEF LSX II LTはデザイン的にも秀逸。今回僕はストーングレーを選びましたが、ミニマルなデザインにぴったりのカラーで本当に美しいです。

ひと目でKEFのスピーカーと分かるほど存在感のあるプロペラのような「タンジェリンウェーブガイド」。この形状は音を拡散する効果もあるんだとか。

正面からでもインジケーターの色で左右の判別ができます(黒い方がプライマリ)。
左右の設定はアプリから変更可能です。


インジケーターの色で設定や接続状況などが確認できます。
が、点灯・点滅まで含めるとかなりのパターンになるので、実際には接続先の確認くらいにしか使わないかも。

上品で控えめなロゴも好き。

接続端子やペアリングボタンなんかは、すべて背面にレイアウトされています(各端子の説明はこちら)。
大きめに開いたバスレフもなかなか存在感ありますね。

底面は4つのゴム脚で保護。中心には専用スタンドにマウントするネジ穴(1/4インチ用)が準備されています。

リモコンもあります。単四電池2本も付属。
詳細の設定は「KEF Connect」アプリで行うため活用シーンこそ多くはないものの、クラウド配信サービスから直接再生しているときなど、いちいちMacやiPhoneを起動せずとも使えるのは便利。


電源ユニットはキャビネットに内蔵されているので、ケーブルが嵩張らないのも嬉しいです。

パッケージと同梱品は以下の通り。




- LSX II LT スピーカー 本体
- 電源コード
- 左右スピーカー接続ケーブル(3m)
- 赤外線リモコン
- クイックスタートガイド
- 保証書、製品安全情報
設定や調整は専用アプリで
KEF LSX II LTの初期設定やEQ設定などは専用アプリ「KEF Connect」で行います。
アカウントの作成や初回のWi-Fi接続に必要なアプリですが、このアプリ経由でAmazon MusicやSpotifyなど外部のクラウド配信サービスから直接Wi-Fiで楽曲再生することも可能です。





KEF Connectで出来ること
- スピーカーのL/Rの変更
- 接続の切り替え
- ボリューム調整
- クラウド配信サービスの利用
- イコライザー設定
- ファームウェアのバージョンアップなど
操作自体も直感的に使えて、比較的利用頻度の高いアプリになると思います。

KEF LSX II LT のレビュー

というわけで、ここからは僕が実際に使ってみた感想を中心にKEF LSX II LTの特徴をまとめていきます。
洗練された美しい佇まい
ここについては言わずもがななんですが、KEF LSX II LTはデザインも超かっこいいんですよね。


デスクに置いた時の佇まいや存在感が素晴らしく、デスク全体がグレードアップされたかのような錯覚に陥ります。
表面仕上げは樹脂素材をそのまま活かしたような、マットでサラサラとした質感。

僕は今回、デスクのイメージに合わせてストーンホワイトを選択しましたが、ブラックやグリーンのモデルも雰囲気があって素敵でした。
接続や配線は超簡単
前述のとおりKEF LSX II LTのオーディオ入力は、HDMI(ARC)、オプティカル(光デジタル)、イーサネット、USB-C、Bluetoothの5種類。
電源を含む入力端子はすべてプライマリ側に集約されていて、セカンダリには電力と音源データをまとめてUSB-Cケーブルで供給されます。


アンプ内蔵かつ配線がとてもシンプルで、ケーブルまわりがゴチャつかないのはかなりありがたいポイント。
Bluetooth接続時の配線


Bluetoothで接続した場合、コンマ数秒の遅延があるので映画などの視聴には不向きですが、音質的にはUSB接続とそれほど変わらない印象。
Amazon musicなどクラウド配信サービスから直接Wi-Fiで再生できる点も、いちいちMacを起動する必要がなくて便利です。
3.5mmのAUX接続には非対応なので、気になるのはそこくらいですかね(あまり必要性は感じないけど)。
サイズ感はちょっと大きめ
一般的なオーディオスピーカーと比べるとコンパクトなKEF LSX II LTですが、PCスピーカーとしてはやや大きめ。


音質とキャビネットのサイズはある程度比例するので「小さければいい」というモノでもないのですが、デスク上の限られたスペースで使うにはちょっと大柄な気もします。

特にデスクシェルフとかを置いちゃうと、僕と同じ幅140cmくらいのデスクでも結構ギリギリかも。
モノが多い人や、デスクスペースを圧迫したくない人はフロアスタンドも検討したいところですね。

中高域は超クリア、低音も心地良い程度に再現
KEF LSX II LTの音質を端的に表現するなら、味付けの少ないピュアなサウンド。
BOSEのように低音を強調した迫力のあるサウンドも良いですが、デスクでまったり音楽に浸りたいなら原音を素直に再現してくれるKEF LSX II LTが最適解。

クリアで伸びのある中高音と、あくまで心地良い範囲の上品な低音とのバランスが絶妙で、長時間でも聴き疲れしにくいんですよね。

基本的に配線嫌いの僕はもっぱらBluetooth接続で使っていますが、USBと比べても明らかな劣化は感じません。
ちなみに「もっと低音が欲しい」という人にはこのサブウーハーの導入もおすすめ。少し値は張りますが、是非チェックしてみてください。


音量を上げるならスタンドが欲しい
強調されていないとはいえ、低音を豊かに再現してくれるバスレフの影響もあり、音量を上げるとそれなりの振動が発生します。

一般家庭でデスクに響くほど音量を上げる機会はなかなかないと思いますが、共振を抑えたいならスピーカースタンドは用意したいところ。

KEFの純正スタンドがベストですが、価格的に厳しいようなら以下のスタンドも座りが良くて個人的にはおすすめです。


KEF LSX II LT の気になったポイント

一度聴くとその上質な音色に虜になること間違いなしのKEF LSX II LTですが、気になる点もあったので紹介しておきます。
Bluetoothの遅延が気になる
前述のとおりBluetooth接続の場合、体感で0.5秒くらいの遅延があります。
人の声もとても自然で、映像コンテンツの視聴にも最適なKEF LSX II LTですが、この遅延のせいで没入感が阻害されるのはちょっと残念。

Bluetoothのコーデックによる遅延(SBCで220ms、AACで120ms程度)は仕方ないとしても、Audioengine A2+ WirelessやBose SoundLink Flexと比較してもタイムラグが気になります。
映画鑑賞やゲームをメインに考えるなら有線での接続を前提に考えておきたいところです。

ボリューム調整が分かりにくい
一般的なデスクトップスピーカーはPCと連動するモノが多いのですが、KEF LSX II LTは加えてスピーカー側のボリューム設定も存在します。

デフォルトではこの設定がかなり抑えられていて、当初やけに小さい音に初期不良かと疑ってしまいました。

本体のボリュームは付属のリモコンやKEF Connectアプリから調整可能ですが、できれば本体にも物理的なダイヤルがあると良かったかも。
デスクトップ用にはやっぱり高額
このクラスになるともはや嗜好品なので、あまり価格の話をしても仕方ないんですが、PCスピーカーとしてはかなり高価な製品です。ペアで10万円を超えるのはこの製品とGenelecのGシリーズくらいじゃないですかね。
もちろん上位モデルのLSX IIよりは安価だし、ブランドや品質を考えれば充分に納得感もありますが、もう少し手頃に買えると嬉しいですよね。
「KEF Music Gallery Tokyo」でも今年の福袋のようにまれに展示品が安く販売されている場合があるので、少しでもお得に買いたい人は定期的にチェックしてみるといいかもしれません。

まとめ

この記事では最高の音質と美しいデザインが魅力のブックシェルフスピーカー『KEF LSX II LT』をレビューしました。
14万円近い価格は確かに高額ですが、音の良さはもちろん、デスクに映えるミニマルなキャビネットや、Bluetoothで簡単に繋がる手軽さも大きな魅力。
電源やアンプ、ケーブルなどこだわり出すとキリが無いオーディオの世界ですが、複雑な設定や配線も不要でこれほど上質な音を楽しめるスピーカーにはなかなか出会えないと思います。

おかげですっかりデスクでの音楽鑑賞が日課になりました。
苦手分野もなくシンプルに音を楽しめるスピーカーになっているので、気になったらぜひ実店舗で試聴してみてください。
以上、カナちひ(@kana_chihi)でした。


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