こんにちは、カナちひ(@kana_chihi)です。
僕にとって通勤や外出時には欠かせないAirPods Pro。使い勝手やノイキャン性能こそピカイチなんですが、正直音質はそこそこと感じている人も多いのではないでしょうか。
今回、思いがけずうっとりするほど良音のワイヤレスイヤホンに出会ってしまったので、早速レビューしてみたいと思います。
それがこの『KEF Mu3』。

この製品、以前紹介したブックシェルフスピーカー「LSX Ⅱ LT」を手がける英国の高級オーディオメーカー製だけあって、発売から数年経った現在も色褪せることなくクリアで自然な音質を届けてくれます。
一方で機能性や操作性に関しては正直いまいちな部分も多いという実に使う人を選びそうな製品になっているので、メリット・デメリット両面からどんな人におすすめできるイヤホンなのか丁寧に解説していきます。

KEF Mu3 の概要

KEF Mu3は英国の高級オーディオメーカーとして知られるKEFのワイヤレスイヤホン。
2021年の発売以降、現在も同社唯一のワイヤレスイヤホンとしてあり続けるに相応しい「ピュアで原音に忠実なサウンド」で多くのユーザーから愛され続けている名作です。

「何よりも音を優先する」というKEFのモットーの通り、とにかく原曲の意図しない特定の音域を強調するような演出が抑えられていて、Bluetooth接続ながら素直で聴きやすいサウンドが魅力。
そんな理由もあってかノイキャンの効きも控えめで通勤や電車でながら聴きしたり、映画の臨場感を盛り上げるというより、「自室でじっくり音楽に浸りたいイヤホン」に仕上がっています。

仕様とスペック
モデル名 | Mu3 |
---|---|
外観 | ![]() |
カラー | |
周波数帯域 | 20 〜 20,000 Hz |
出力音圧 | 最大 5mW |
通信規格 | Bluetooth 5.0 |
対応コーデック | SBC / AAC |
再生可能時間 | 最大9時間(ANC時) 最大15時間(ケース使用時) |
防塵防水性能 | IPX5 |
ノイズキャンセリング | |
外音取り込み | |
マイク | |
ハイレゾ再生 | |
サイズ | イヤホン:24.5 x 17.5 x 26.3 mm 充電ケース:33.5 x 62 x 52 mm |
重量 | イヤホン:5.8 g 充電ケース:46.8 g |
Check |
数年前のモデルだけあって、今の最新イヤホンと比べるとBluetoothの規格や防水性能などはやや物足りないと感じなくもないですが、一通りの機能は揃っていて普段使いで困ることはなさそう。

イヤホン単体で連続9時間、ケース併用で最大24時間という使用時間はAirPods Proと比べても優位で一日使うには充分。5分充電で1時間使えるという充電受入性も実用性が高いと感じます。
デザインと外観
KEF Mu3のデザインを手がけるのはウェールズの工業デザイナー「Ross Lovegrove」。

KEFのフラッグシップスピーカー「MUON(お値段なんと¥23,100,000)」を担当した名門デザイナーらしい彫刻的な曲線がなんとも美しい意匠ですよね。


充電用のUSB端子は背面に配置されています。

充電ケーブルにはUSB-A to Cケーブルが付属。

イヤホン収納部分は広く浅い設計になっていて、プレスラインも緩やかな曲線で掃除もラクそう。

こちらがイヤホン本体。丸みを帯びたボディは耳介にすっぽりとハマるように設計されていて、運動時に落としてしまうような不安は感じません。

イヤホンの左右それぞれに操作キーを配置。タッチセンサーではなく物理ボタンなので「押す」以外の操作は受け付けないんですが、その分操作性はシンプル。

付属のイヤーチップはシリコン製で装着感は悪くないんですが、遮音性は正直それほど高くないので気になる場合はComplyのTW-200-Cなど互換性のあるウレタンフォーム製チップに交換すると良いかも。


AirPods Proと並べてみましたが、比較するとケースもイヤホンもKEF Mu3の方が少し大振りですね。


ちなみにパッケージと同梱品はこんな感じになっています。



- Mu3 本体
- 充電ケース
- USB-C充電ケーブル
- シリコン製イヤーチップ(4サイズ)
- ユーザーガイド
KEF Mu3 の使用感をレビュー

ここからは僕が実際に使ってみた感想も交えながら、製品の特徴や魅力をまとめていきます。
音質はとにかくクリアで上質
まず音については中高音の解像感が高くとにかくクリア。低音に感してはズンズンと響くような重さは無く、あくまでも原曲の印象を損なわない範囲で自然に表現してくれます。
僕自身はBOSEやSONYのULT Wearのようにメリハリの効いたドンシャリサウンドも嫌いではないんですが、このKEF Mu3はまさに対極のような印象。でも立体感はしっかりと感じられます。

よく言えばバランスの取れたサウンド、悪く言えば味付けの薄い個性のない音質とも言えるんですが、実際に聴いてみると非常に心地良くてつい「もう一曲」「あと一曲」と音楽鑑賞に耽ってしまうんですよね。
Bluetooth接続とは思えないほどピュアでクリア、KEFサウンドを充分に感じられるイヤホンだと思います。

もちろん好みにもよると思いますが、少なくともKEF Mu3を使って「音が悪い」と感じる人はまずいないと思います。


高級感のある上品なデザイン
デザイン製の高さもKEF製品の魅力。素材を削り出しやような上品で高級感のある見た目がなんとも気分を上げてくれます。


やっぱりいい道具って見た目も素晴らしいんですよね。機能美っていう言葉がしっくりきます。


今回僕はマットで重厚感のあるチャコールグレーを選びましたが、艶のあるエレガントなシルバーグレーもめちゃくちゃお洒落で本当に迷いました。
Mu3の選べる2カラー




耳へのフィット感も上々
KEF Mu3のボディサイズはやや大きめで耳介に塞ぐように装着するんですが、耳にフィットするよう設計された曲線形状で長時間でも不快感を感じず装着可能です。


若干ポジション取りが難しく最初は安定性に欠けた印象でしたが、マニュアルの通り装着後に捻ることで耳孔にグッと入り込み格段に装着感が増します。


凹凸がないデザインのおかげで風の影響を受けにくく、風ノイズが入りにくい点も特徴です。
ボタンを押すだけのシンプル操作
KEF Mu3の本体操作はイヤホン両側に用意された物理キーで行います。


実行できる機能は左右それぞれに割り振られていますが、以下の通りできること自体それほど多くはないので数回使えば感覚で理解できると思います。
操作 | L側 | R側 |
---|---|---|
再生/一時停止 | 短く1回押す | |
Vol + | 長押し | |
Vol - | 長押し | |
次の曲へ | 短く2回押す | |
ANCモード変更 | 短く1回押す (ANC→アンビエント→OFF) | |
Siriの起動 (iPhoneの場合) | 短く2回押す |
操作 | L側 | R側 |
---|---|---|
再生/一時停止 | 短く1回押す | |
Vol + | 長押し | |
Vol - | 長押し | |
次の曲へ | 短く2回押す | |
ANCモード変更 | 短く1回押す (ANC→アンビエント→OFF) | |
Siriの起動 (iPhoneの場合) | 短く2回押す |
物理キーだけあって反応が良くちゃんと推し感もあるし、ノイズコントロールの際は音声によるフィードバックもされるので操作性は良好。


一部片側だけだとできない操作や音量調整が左右に分離されている(しかも長押し操作)など、合理的とは言えない部分も確かにあるんですが、まあ慣れていまえばストレスに感じるほどではないかと。
雨天でも使える防水性能
IPX5という防水性能は最近のイヤホンと比べるとやや控えめですが、多少の雨や汗くらいであれば問題なく使用できます。




さすがに水没させたり粉塵の舞う環境下で使うのは避けたほうがいいと思いますが、日常使用では特に水濡れを意識する必要はないと思います。


KEF Mu3 の気になったところ


続いてKEF Mu3の気になった点を紹介します。正直音が気に入って使っている僕にとっては瑣末な問題ではあるのですが、道具として見ると無視できない部分でもあるのでご参考まで。
機能性は必要最小限
KEF Mu3の「ボタンを押すだけ」というシンプルな操作自体は好意的に捉えられる部分もあるんですが、前述の通り左右片側でしか操作できない機能があったり、聴いている曲の「頭出し」や「前の曲に戻る」という機能が存在しないというのは正直残念。
特に片側だけでは「音を下げられるのに上げられない」というのは通話の際には結構困ると思います(通話で両耳にセットするのは面倒ですよね?)。


4年近く前のモデルだし、2つのボタンのみで構成されるシンプルな設計ゆえに仕方がないとも思いつつ、やっぱりもう少し機能性にもこだわって欲しかったというのが本音です。
地味に片手では開けにくいケースも要改善だと思います。


ノイキャンの効きが弱い
AirPods ProやSONYのWF-1000XM5などと比較すると、KEF Mu3のノイズキャンセリングは明らかに効きが弱く、周囲の会話やテレビの音は普通に入ってきます。
ただ、不思議と電車内や街中の雑踏などで曲が聞こえないということはないんですよね。
公式ストアにも「音楽のディテール維持しながら、外部ノイズを遮断」との記載があるので、あえて視聴に影響する明確な周波数帯のノイズだけをカットする仕様になっているのかも知れません。


ノイキャンの効きが抑えられている分、特有の圧迫感も少ないので、そこが苦手な人にはむしろメリットと言えるかも。
シリコン製のイヤーチップ特性上どうしても耳との隙間から音が入るので、最大限ノイズを抑えたいなら社外製のイヤーチップへの交換もおすすめです。


イコライザー機能には非対応
頭抜けて音のバランスがいいKEF Mu3には必要がないということかも知れませんが、EQ機能など音質を調整できるアプリは存在しません。
この点はまさに原音に忠実なサウンドをモットーとするKEFらしいところではあるけど、左右の耳で聴力差がある人が「右側だけ音量を上げたい」といった要望にも一切応じられないのは少し気になる部分です。


個人的にはあえてバランスを崩す調整は不要だとは思いますが、自分の感性でゴリゴリと好みのサウンドを追求したいという人にも明らかに不向きと言えるイヤホンかも知れませんね。


まとめ


というわけで今回は僕史上最高と言っても良いかも知れない高音質のワイヤレスノイズキャンセイリングイヤホン「KEF Mu3」をレビューしました。
2021年に発売されたモデルということで、現在の最新イヤホンと比べれば機能性や操作性に関して劣る部分も多いんですが、それを補って余りある自然でクリアなサウンドは「とにかく良い音で音楽を聴きたい!」という人に超おすすめのプロダクトです。
3万円という価格は確かに高いけど、日常使いはもちろん、自宅でじっくり腰を据えて音楽に浸りたいという時にもぴったりのイヤホンとなっているので気になった人はぜひチェックしてみてください。
以上、カナちひ(@kana_chihi)でした。


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