こんにちは、カナちひ(@kana_chihi)です。
外出時にお気に入りのヘッドホンを持ち歩くという人は多いと思いますが、少し開放的な場所に出かけるならポータブルスピーカーもおすすめ。
耳元を圧迫することなく、川辺でコーヒーを飲みながら、あるいはテラスで夕暮れを眺めながら――
その場の空気ごと音楽で満たすような感覚は、アウトドアスピーカーでしか得られない、とても心地よい体験だったりします。
というわけで、今回レビューするのは、イギリスの老舗オーディオブランド KEF(ケーイーエフ) が手がけた新型ポータブルスピーカー 「Muo(ミュオ)」。

片手に収まるコンパクトなサイズながら、KEFならではのHiFiサウンドをしっかりと楽しめる一台です。
価格は39,600円(税込)と、ポータブルスピーカーとしては高級路線ですが、デザイン・機能・音質すべてに”KEFらしさ”を感じられるモデルで、実際手にしてみれば納得感のあるプライス。
この記事では、実際の使い心地や、以前レビューした「BOSE SoundLink Flex(第2世代)」との比較も交えながら、KEF Muoの魅力をじっくりと紹介していきます。

片手サイズにHiFiを凝縮。新世代「KEF Muo」の全貌

まもなく2025年10月7日に発売される新作「Muo」は、2015年に登場した初代Muoの後継機にあたるモデル。
同社のフラッグシップスピーカー「Muon(ミュオン)」のデザインを手がけた工業デザイナー、ロス・ラブグローブ氏が手がける建築物の柱のような造形は、まるでアートピースのようで、スピーカーという実用品でありながら、置くだけで空間の雰囲気を変えてしまう独特の存在感があります。
さらに今作では、使用済みのボトルやスマートフォン、ノートPCなどから再生されたリサイクルプラスチックを採用。高級感のあるアルミ筐体と組み合わせることで、環境負荷を抑えつつもKEFらしい美しい仕上がりを実現しています。
もちろん、内部構造もしっかりと見直されていて、
- 専用設計の レーストラック型ドライバー による低音強化
- 高音質Bluetoothコーデック aptX Adaptive への対応
- 縦置き/横置きに応じて最適化するDSP 「Music Integrity Engine」搭載
などなど、技術面でも大きな進化を遂げています。

デザイン性、サステナビリティ、そして音響技術。
KEF Muoは単なる新モデルに留まらない、KEFのこれからのポータブルHiFiの方向性を示すようなアイコニックな一台となっています。
仕様とスペック
KEF Muoの細かい仕様は以下のとおり。
KEF Muo(第2世代) | |
---|---|
![]() | |
カラー | ● ● ● ● ● ● ● |
発売日 | 2025年10月7日 |
ドライバー | 58 × 117 mm レーストラック型(P-Flexサラウンド)/ 19 mm ドームツイーター |
アンプ出力 | LF/MF:30W(Class D)HF:10W(Class D) |
最大音圧 | 90 ± 3 dB |
接続方式 | Bluetooth 5.4(aptX Adaptive / AAC / SBC対応)USB-C 有線入力(最大48 kHz/24bit対応) |
バッテリー | 最大24時間再生 / フル充電:約2時間(20V/1.5A充電器使用時)/ 急速充電:15分で約3時間再生 |
防塵防水等級 | IP67 |
通話機能 | 内蔵マイク(ノイズ/エコーキャンセリング対応) |
アプリ連携 | KEF Connect(EQ設定、ファーム更新、操作管理) |
サイズ | 216 × 82 × 59 mm |
重量 | 約740 g |
Check |
特に24時間のロングバッテリーやIP67の防塵防水設計は、アウトドアやキャンプではかなり心強いポイント。
カラーバリエーションは全7色と豊富で、シーンや好みに合わせて選べるのも嬉しいですよね!








今作からaptX Adaptiveによるハイレゾ再生にも対応。接続デバイスや音源に合わせて最適なビットレートで、より高音質なサウンドを楽しめるようになりました!
KEF Muo のデザインと使い勝手


KEF Muoを手にして取ってまず感じたのが、アルミ筐体の上質な質感。
押し出し成型されたアルミボディにはサンドブラスト加工が施されていて、マットで落ち着いた風合いに。さらさらとした手触りで指紋や汚れが目立ちにくく、実用品としての扱いやすさも兼ね備えています。


サイズは 216 × 82 × 59mm / 約740gと、片手で持てる大きさながら、ずっしりとした重量感があり、いかにも中身の詰まった良いスピーカーという印象です。
真ん中が少しくびれたようなレイアウトのパンチホールもなかなかおしゃれ。音の広がりを妨げず、内部への水や埃などの侵入をしっかり防いでくれます。


側面には横置き用のゴム脚と、キャリーストラップを配置。
ストラップは着脱式なので、濡れても外して乾かせるし、不要なときは取り外したままでもOK。剛性も高く、実用性も十分だと思います。




操作系は(横置きしたときの)右側面に集約。ボタン部分が軽く凹んでいるので、慣れれば手探りでも操作が可能です。


縦置き/横置きにかかわらず、シリコンフットで設置面との共振を防ぎつつ、安定性を確保。
三角形の形状は横置きにしたときに正面がやや上を向くので、音が広がりにも有利だし、ちょうど耳の位置に真っ直ぐ音が届きやすいというメリットもあるんですよね。


パッケージやその他の付属品は以下のとおり。






- Muo本体
- 着脱式キャリーストラップ
- USB-Cケーブル
- クイックスタートガイド
置き方に合わせて最適化されるサウンド
KEF Muoに搭載されたDSP(デジタル信号処理)「Music Integrity Engine」が、縦置き・横置きを感知し、置き方に応じて自動的に音場を最適化してくれます。




置き方によるサウンドの印象
- 横置き|広がりのある音場
ドライバー配置を活かし左右に広がるような空間表現。1台でもステレオっぽい音場になるので、リビングや部屋全体でBGMを流すようなシーンに最適。 - 縦置き|自然なモノラル再生
より自然なモノラル再生で、密度の高い音像を再現。デスクやベッドサイドなど、近距離で落ち着いて音楽を楽しみたいときに向いてそう。
僕はまだ試せていないんですが、2台のMuoをペアリングすれば、左右チャンネルに分かれる本格的なステレオ再生に対応するみたいですね。
屋外で大音量で楽しんだり、PCスピーカーとして使いたい時には嬉しい機能だと思います。
\ 圧倒的高音質!LSX Ⅱ LTもおすすめ! /


持ち運びやすさと操作性
KEF Muoのサイズ感は、ちょうど500mlのペットボトルサイズくらいで携帯性も抜群。


重量こそ少し重めですが、バッグのボトルホルダーにもすっぽり収まるし、ストラップのおかげで掴んで持ち運ぶ際にも安心感があります。




操作ボタンは一箇所にまとめられていて、手探りでも分かりやすいレイアウト。物理ボタンで反応もよく、ストレスも感じません。


ボタン | 操作 | 機能 |
---|---|---|
電源ボタン | 3秒長押し | 電源のON/OFF |
マルチファンクションボタン | 1回押す | 再生/一時停止、通話を受ける |
2回押す | 次の曲へ/通話拒否 | |
3秒長押し | 音声アシスタント起動/通話終了 | |
音量+ボタン | 短押し | 音量UP |
音量−ボタン | 短押し | 音量DOWN |



しいていうなら、電源ボタンの3秒長押しはちょっと面倒かも。自動スタンバイ(自動電源オフ)からの復帰でよく使うので、もっと簡略化してもいいかも知れません。
ペアリングもワンタッチで
USBケーブルでの接続は当然として、Bluetoothによるペアリングもとても簡単。
ボタン | 操作 | 機能 |
---|---|---|
Bluetoothボタン | 1回押す | Bluetoothペアリング開始 |
2回押す | Bluetooth ↔ USB-C 入力切替 |
初回のペアリング方法
本体側面のBluetoothボタンを押し、LEDが青色に点滅したらペアリングが開始


Bluetoothの設定画面がら「KEF Muo」を選択


一度ペアリングしてしまえば、以降は電源を入れるだけで自動接続されます。
ちなみに2台のMuoをペアリングしたりメモリの削除を行う場合のみ、少し特殊な操作が必要になるので紹介しておきます。
- TWSペアリング(2台使用でステレオ化)
2台のMuoで「Bluetoothボタン+音量アップ」を3秒同時長押し - ペアリングメモリ削除
「Bluetoothボタン+音量ダウン」を3秒同時長押し - 工場出荷時リセット
「Bluetoothボタン+マルチファンクションボタン」を3秒同時長押し


サウンドレビュー|小さな筐体に込められたHiFi体験


バランスに優れたHiFiスピーカー
KEF Muoの魅力はなんといっても、KEFらしいバランスの取れたHiFi(High Fidelity|高忠実度)サウンド。
同社のサブウーファー「KC62」にも採用されるP-Flexサラウンドによって、サイズを超えた力強い低音が実現されるほか、全体のトーンバランスを制御するDSPには、ハイエンドモデル「LS60 Wireless」の技術をベースにした独自アルゴリズムが惜しげも採用。
その結果、小型スピーカーによくある”無理に膨らませたような低音”や”人工的なデジタル処理感”がなく、低域から高域まで輪郭の整った、自然で解像度の高い音質が再現されています。


中高域も非常にクリアで、ボーカルやアコースティック楽器を中心に繊細に再現されているんですが、特に印象的だったのが、低音の深い沈み込み。
良い意味で従来のKEFサウンドとは印象の異なる低音が強調されたチューニングなんですが、実はこれが屋外で使うには具合が良く、特にダンスミュージックなどでは、ぐっと華やかさを与えてくれます。


音量を上げてもディテールが崩れず、しっかりとHiFiサウンドを保ってくれるのもさすが!
BGM用途はもちろん、じっくり音楽を聴き込むのにも最適なポータブルスピーカーに仕上がっています。
\ もっと手軽さを優先するならMu3もあり! /


専用アプリでEQ調整が可能
「KEF Connect」アプリを使えば、シンプルながらも効果的なEQ調整が可能。


低音を少し抑えてクリアに聴かせたり、反対に厚みを増して迫力を出したりと、シーンに合わせて5つのプリセットから音の傾向を選べます。
2025年10月時点でMuoで使えるのはこの機能だけなんですが、ファームウェアアップデートにも必要なので、ひとまず入れておいて損はないと思います。
- イコライザー設定
- バッテリー残量確認
- ファームウェアのバージョンアップ
BOSE SoundLink Flex(第2世代)との比較
以前レビューした「BOSE SoundLink Flex(第2世代)」とも簡単に比較してみました。
まず音質の面では、低音の量感・解像度・広がりのすべてで、忖度なしにKEF Muoのほうが一枚上手。2倍以上の価格差を踏まえても、音の立体感とレンジの広さには明確な差があるように感じます。
特に低域の厚みを保ちながら、中高域の細部のニュアンスまで丁寧に描いてくれるのが印象的。


一方でSoundLinkの軽快でメリハリのあるサウンドは、BGM的に空間を彩るにはぴったりのチューニング。
Muoより約200g軽い重量や、傷に強いシリコンボディは持ち運びに便利で、“気軽に音楽を楽しめるポータブルスピーカー”としての使いやすさがあります。
以下の動画で、空気録音による音の違いを比較してみたのでご参考まで。
- 再生デバイス:iPhone16Pro(Bluetoothコーデック:AAC)
- 収録マイク:Elgato Wave DX
- 曲:Egzod, Maestro Chives, Neoni – Royalty [NCS Release]
音の印象や向いているシーンをざっくりまとめると、以下のような感じかと。
モデル | キャラクター | より向いているシーン |
---|---|---|
BOSE SoundLink Flex(第2世代) | 力強くノリの良い重低音。アウトドアで盛り上げたい人向け。 | BBQ、キャンプ、外出先のBGM |
KEF Muo | クリアで上品。音の立体感と繊細さを両立。 | 自宅・デスク・静かな空間でじっくり聴きたい人 |
同じポータブルスピーカーでもキャラクターはかなり異なるので、迷ったときの参考にしてみてください。


通話品質にも妥協なし
使う機会はそれほど多くなそうですが、KEF Muoにはノイズ&エコーキャンセリング機能を備えた内蔵マイクが搭載されていて、通話品質も良好。


MacBook本体の内蔵マイクと比較して、周囲の雑音を抑えクリアな音声を届けてくれます。
MacBook内蔵マイクとの音質比較(タップして試聴)
KEF Muoのマイク
MacBook Proの内蔵マイク
無線接続だと若干のタイムラグがあり、電話だと少し違和感がありますが、それも充分な通話品質でオンラインミーティングなんかにはちょうどいいと思います。
\ 配信品質を求めるならこのマイクがおすすめ! /


KEF Muo の気になった点


コンパクトなサイズ感にに高品質なHiFiサウンドと、とにかく完成度の高いKEF Muo。
とはいえ「ポータブルスピーカー」として見ると、人によっては評価が分かれそうなポイントもいくつかあったので紹介しておきます。
雑に扱うには気が引ける価格
まずひとつは、約4万円という価格。
KEFのブランド力やブックシェルフスピーカーに迫るサウンドを考えれば妥当とも言えるのですが、「ポータブルスピーカー」というカテゴリの中ではやはり高価。キャンプや海辺など、比較的ハードな環境で使うことも多い製品だけに、どうしても気になってしまいます。
実際、IP67という防水性能は頼もしいのですが、「大丈夫だと分かっていても濡らすのは気が引ける…」というのが正直なところ。


BOSE SoundLink Flexのようにシリコンで覆われた筐体と比べると、KEF Muoのアルミ製ボディは傷や凹みも目立ちそうだし、結局屋内利用が中心になってしまうんですよね。
そうなると、せっかくのタフネス仕様も活かしきれず――このあたりはユーザー心理としてちょっと悩ましいポイントかも知れません。
手軽に持ち出すにはやや重い
同様にポータブルスピーカーであることを考えると740gという重さも気になるポイント。片手で持てるとはいえ、「持ち運ぶにはちょっと重い」というのが本音。


そういう意味でも、やはりバッグに放り込んで気軽に持ち出すというよりは、リビングやデスク、アウトドアなどシーンごとに据え置き的に使う方が向いている気がします。
最大24時間の再生時間も”中音量時”とのことなので、大音量で使う場合はもう少し短くなる可能性もあり。長時間使う予定ならモバイルバッテリーの重さも考慮しておきたいところです。




細かいEQには非対応
先ほどのとおり、アプリでEQ調整もできるKEF Muoですが、カスタマイズ範囲は限定的。
デフォルトのチューニングが優秀過ぎて個人的な不満はありませんが、「もっと自由に音作りをしたい」という人には物足りないかも。
- Default
バランス重視の標準モード。日常使いや縦置き時に最適化され、均一で安定したサウンドを提供。 - Dialogue
声や会話を強調。ボーカルや映画のセリフ、オンライン会議で聞き取りやすくなる。通話時には自動的に有効化される。 - Extra Bass
中低域を約3dBブースト。キックやベースを厚めに聴きたいとき、屋外や広い部屋に適している。 - Close to Wall
壁際(40cm以内)に置いたときの自然な低音強調を抑え、バランスを整えるため低域を3dBカット。 - Desk
デスク上で2台のMuoをステレオ再生する場面に最適。より自然でニュートラルな音に補正。 - Horizontal(横置き時に自動調整)
横置き専用のサウンドプロファイル。内蔵の姿勢センサーで自動的に切り替わる。
屋外やリビングで使うなら「Extra Bass」、デスクやお風呂場で使いなら「Dialogue」や「Close to Wall」と、シーンに合わせて気軽に切り替えられるのは便利だ思います。
まとめ


KEF Muoは、アルミ筐体の美しいデザインとKEFらしいバランスの良いサウンドを持った、玄人志向のポータブルスピーカー。
約4万円という価格や、740gの重量でちょっと手軽さには欠けますが、そのぶん”所有する満足感”と”妥協のない音質”をしっかりと味わえる仕上がりになっています。
- デザインと音質の両方にこだわりたい
- 普段はリビングやデスクで、時々アウトドアにも持ち出したい
- BOSEやSONYのような低音重視より、自然でバランスのいい音が好み
- 高級オーディオのエッセンスを手頃なサイズで味わいたい



初めてのKEFサウンド体験にも最適!
HiFiサウンドをどこでも楽しめるという特別感を考えると、KEF Muoはとても魅力的な選択肢だと思います。
「他の人よりちょっとこだわったポータブルスピーカーが欲しい」という人はぜひチェックしてみてください。
以上、カナちひ(@kana_chihi)でした。


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