こんにちは、カナちひ(@kana_chihi)です。
シリーズ初の独自SoCを搭載して話題となった「XREAL One」から、わずか半年——
2025年7月2日、早くもアップグレードモデルが発表されました。
コトリアでは初代Airのころから、このARグラスを追い続けていますが、本当にXREALの進化スピードには毎回驚かされます。開発サイクル早すぎません!?
というわけで、今回はXREALの最新フラッグシップARグラス『XREAL One Pro』をご紹介します。

今回の目玉は何といっても、50度から57度に拡大した視野角(FOV)と、それによる最大428インチ相当の超大画面化。Oneからさらに38%も大きくなっているというから驚きです。
その他にも視聴体験を向上する細かいアップデートが多数加えられていて、「よくこの短期間で!」と思わず感嘆してしまう仕上がりになっています。
今回、7月24日の発売に先駆け、メーカーさんから少し早めに実機をお借りすることができたので、じっくり使ってみた感想や「One」との違いなど、詳しく紹介していきます。
XREAL One Pro 商品概要

まるで視界全体に映像が映し出されるかのよう——
これが今回初めてXREAL One Proで、映像コンテンツを視聴したときの僕の率直な感想。
いやいや、僕は日常的に330インチ相当のXREAL Oneの映像に触れているはず。それなのに、ここまで違うか?と自問してしまうほど、これまでフレームから外れていた部分が首を動かすことなくちゃんと見える。数値にすればわずか7°の違いですが、視野角だと、ここまで明確に差が出るんですね。

XREALが独自に開発した空間OS「NebulaOS」と、空間認識チップ「X1チップ」の低遅延の恩恵で、現実に巨大なディスプレイがあるような体験ができるXREAL One Pro。
前作XREAL Oneのデザインや基本思想はそのままに、視野角や輝度、音響性能などを正統進化させたフラッグシップモデルで、映像視聴や作業用途において、ワンランク上の“空間コンピューティング”を体現するデバイスになっています。
スペック比較:XREAL One vs One Pro
まずは数値的な違いをスペック表でまとめてみます。
項目 | XREAL One Pro | XREAL One |
---|---|---|
![]() | ![]() | |
視野角(FOV) | 57° | 50° |
画面サイズ相当 | 最大428インチ | 最大330インチ |
ディスプレイ | Sony製 次世代0.55インチ マイクロOLED | Sony製 0.68インチ マイクロOLED |
解像度 | FHD 1080p | FHD 1080p |
リフレッシュレート | 最大120 Hz | 最大120 Hz |
最大輝度 | 700nit | 600nit |
サウンド | BOSE監修チューニング | BOSE監修チューニング |
3DoF | ◯ (ネイティブ対応) | ◯ (ネイティブ対応) |
6DoF | ◯ (XREAL Eye装着時) | ◯ (XREAL Eye装着時) |
重量 | 約87g | 約82g |
瞳孔間距離(IPD) | 物理式 (2つのモデルから選択) | ソフトウェア式 |
標準価格 | ¥84,980 | ¥69,980 |
Check | Check |
ちなみに、この「画面サイズ」は10m先に投影したときの目安。XREALでは表示距離やサイズの組みわせにより調整できるのですが、最大スクリーンサイズの差については以下を参考にしてみてください。
330″と428″の映像サイズの違い


解像度はともにフルHD(1920×1080)なので、厳密には拡大表示しているだけ。ただ実際に映る映像は、本物のディスプレイのような「拡大図で映像が荒い」という印象は受けません。
むしろ、購入時に物理的に瞳孔間距離(IPD)を選べるようになったことで、人によってはより鮮明に美しい映像を楽しめるようになっているはずです。
また、スペック表からは読み取れませんが、音質についても再調整が加えられたようでより臨場感のあるサウンドに進化。
正直、音質の差は比較してようやく気づくくらいのレベルですが、確かに Proの方がやや厚みが増し、空間の広がりが出ている気がします。

Oneよりフレームが薄くなり軽量化されたとのことでしたが、新搭載の光学系「X Prism」の影響か総重量はちょっとだけ重くなっているみたいですね。ただ、装着感はかなり良いので、体感的にはまったく問題はないと思います。
外観とデザイン
XREAL One Proのデザインは、一見すると「あれ、変わった?」と迷うほどOneによく似ています。
それだけ、フレームやキーレイアウトなどが完成されているということかも知れませんが、とても洗練された”かっこいいサングラス”といった感じです。

正面のパネルは取り外しできるようになっています。
現時点では傷防止くらいしか用途が思いつきませんが、もしかすると今後着せ替えパーツが展開される予定なのかも知れませんね。

こちらが実際に映像を投影する部分。新たに「X Prism」と呼ばれるプリズムが採用され、以前のモデルより迷光や反射を抑えつつ、視野角の拡大に貢献しているそう。

見比べてみると、右側のOneとはプリズムとは厚みや形状が明らかに異なっています。


操作系は右側のテンプル(つる)に集約。X1チップ搭載以降、メニュー画面を映像として投影できるようになったことで、ボタン自体の機能はかなり簡素化されています。
特に便利なのが人差し指で操作するショートカットボタン。ワンタッチでワイドモードや3Dモードに切り替えたり、別売りのカメラモジュールのシャッターボタンとして活用したりと、さまざまな機能を割り当てて使うことができます。


スピーカーは左右のテンプルの上下に配置。
こんなちょっとした隙間から音が出ているとは思えないほど迫力のある重低音ですが、指向性のある設計で、周囲への音漏れは最小限に抑えてくれます。


左のテンプルの先にUSB-Cポートが用意されていて、ここに専用のUSBケーブルを装着する仕様。うまく頭の後ろにまわり込むような形状になっているおかげで使用中にも邪魔になりません。

もちろん、先日発売されたばかりのカメラモジュール、「XREAL Eye」にも対応。眉間のスロットに装着することで、グラス単体での6DoFに対応。
3DoFによる「左右・上下・傾き」といった頭の”向き”に加え、実際に自分が動いた方向や位置も検知。スクリーンとの距離感を認識できることで、よりリアルなAR体験が可能になります。


鼻あては中空でふわふわとした感触。鼻の高さに合わせて調節できるようサイズ違いの交換パーツも付属しています。

ちなみに専用ケースも用意されていて、ARグラス本体+USBケーブル+クロス(メガネ拭き)などをまとめて収納可能。コンパクトに携帯できるので持ち歩きにも便利ですよね。

その他、同梱品は以下のとおり。



JUN GINZAで度付きレンズを作れるようですね。約8千円と比較的安価なので、メガネ派の人は一緒に注文しておくと良いかも。
※過去のシリーズと互換性がない点には注意
XREAL One Pro レビュー|正統進化の上位モデル


ここからは、実際に2週間ほど使って感じたリアルな使用感をお伝えします。
とはいえ、内蔵チップや操作性、拡張性などはXREAL Oneから大きな変化はないので、その辺りはそちらの記事をご覧いただくとして、ここでは以前のモデルから進化を感じたポイントを中心にまとめていきます。
\ XREAL Oneの記事はこちら! /


普通のサングラスに近い、快適な装着感
XREAL One Proの重量は約87gとOneからわずかに上昇。
一般的なサングラスの重さが20〜30gと考えると約3倍の重さではあるのですが、鼻と耳でバランスよく重量が分散されていて、意外と重さは感じません。


ノーズパッドは中空構造でふんわりと柔らかく、テンプルは耳の形に沿うようにエッジを排した少し厚めのデザイン。全体的に装着時の圧迫感を軽減するように設計されているので、長時間使っても「◯◯が痛い」と感じることはないと思います。
気になる使用時の”熱”ですが、長く視聴してると眉間付近がじんわりと温まる程度。直接肌にも触れないので意識しなければ気にならない程度と考えてOKです。


ということで、装着感に関しては何ら問題のないXREAL One Proですが、まわりからの見た目的にはまだ少し違和感があるというのが正直な感想。
映像をプリズムに投影する構造上、どうしても目とレンズの間にスペースができてしまい、カフェなどでも「変わったサングラスをつけている人」として多少視線を集めてしまいます。


もちろん、街中を装着したまま歩くような場合でもない限り、ジロジロ見られることはないと思いますが、まあ、それだけ未来を先取りしている証拠。
これからもっと認知が広まり、利用者が増えていくことで、当たり前にARグラスを使う時代が来ることを期待したいところですね。
視界全体がスクリーンになる映像体験
最大428インチ相当まで拡張されたディスプレイサイズは、やっぱりインパクト抜群。
ただ大きくなったというだけでなく、視界の端から端まで自然に映像が広がってくる感覚があり、映画はもちろん、YouTubeの何気ない動画でさえ、つい見入ってしまうほどの没入感があります。


個人的に一番この「視野角の広さ」に感動したのが、MacBookでの作業時。
XREAL One Proの「ワイドスクリーンモード」で表示する32:9の超ワイドスクリーンは、アプリを横に3つ並べてもまったく狭さを感じず、まるで空間そのものをワークスペースに置き換えたような素晴らしい体験を得ることができます。


画質面も申し分なく、フルHD(1080p)の解像度ながら小さなテキストもくっきり表示。画面自体も空間にぴたりと固定されるため、頭を動かしても映像がぶれず、「作業用ARグラス」としての完成度も一段と高まっている感じがしました。
あと、電子調光機能も相変わらず便利ですね。手元操作で簡単にレンズの濃さを調整できるので、状況や環境に合わせて常に見やすい視界を確保することができます。




Oneからさらに明るくなった最大700nitの輝度も視認性の高さに一役買っていて、特に日中の屋外でありがたいですね。
3DoFでガッチリ固定された空間映像
XREAL Oneから搭載された専用プロセッサ「X1」によるネイティブ3DoFの精度は相変わらず素晴らしく、頭を動かしても映像は空間にぴたりと固定されたまま。
まるで本当にその場所に大型ディスプレイが設置されているかのような錯覚すら覚えます。


この恩恵をもっとも感じられるのが、”映像を空間に置いたまま”コーヒーカップに手を伸ばしたり、ちょっとApple Watchを確認したりといった「ながら作業」をするとき。



その都度、わざわざ電源を切ったりARグラスを外すことなく、いつも通りに過ごせるのはかなり快適。
あと、ブレ補正の優秀なアルゴリズムのおかげで、視線追従モードでも画面酔いせず、長時間使えるのも嬉しいポイントでした。
Airシリーズよりパワフル。でもスマートな音質
まるでイヤホンをつけているかのように、自然に広がるXREAL One Proのサウンド。
特に映画視聴時などは、音の出どころがテンプル(つる)とは思えないほど、効果音やセリフがクリアに聞こえ、厚みのある低音でシーンの臨場感を演出してくれます。


イコライザーなどの音質カスタムには非対応で、さすがに”音楽を楽しむサウンド”としては少し物足りなさを感じますが、音の立体感と広がりは、さすがBose監修といったところ。



Oneとの違いは明確とはいえませんが、それ以前のAirシリーズと比較すると、格段に音質が向上しています。
ただし構造上、どうしても周囲への音漏れは避けられないため、公共の場や静かなカフェなどでも使えるよう、ワイヤレスイヤホンは準備しておきたいですね。
\ せっかくだからイヤホンも良いものを使いたい! /


空間UIが生み出す快適な操作性
続いて操作性ですが、これはもう言うことなし。
シリーズを通して、iPhoneやMacとUSBケーブルで繋ぐだけですぐに使えるXREALですが、特筆すべきは本体単独で表示できるOSDメニュー。
空間に投影された日本語のメニューから機能を選択するだけなので、迷うこともないし、キー操作の反応もスムーズ。ショートカットキーを活用すれば、その場の環境やコンテンツに合わせて瞬時に調整できるので、設定に関わるストレスはほぼ皆無です。
One Pro単体のUIイメージ


ちなみに執筆現在の最新バージョン(15.1.02.509)のメニュー構成と設定範囲はこんな感じになっています。
空間ディスプレイの表示設定
メニュー | 調整 |
---|---|
画面サイズ(表示距離6mの場合) | 205″ / 231″ / 244″ / 257″ / 333″(長押しで微調整可能) |
表示距離 | 1.0m 〜 10.0m(1m毎 / 長押しで微調整可能) |
ワイドスクリーンモード | ON / OFF(21:9 / 32:9) |
3D表示モード | ON / OFF(SBS形式の3Dビデオ再生時のみ:Full / Haff) |
サイド表示モード | ON / OFF(右側 / 左側) |
画面ブレ補正モード | ON / OFF |
自動調光クロミック | ON / OFF |
瞳孔間調整 | +6から−6の12段階調整 |
空間ディスプレイの表示設定
メニュー | 調整 |
---|---|
画面サイズ(表示距離6mの場合) | 205″ / 231″ / 244″ / 257″ / 333″(長押しで微調整可能) |
表示距離 | 1.0m 〜 10.0m(1m毎 / 長押しで微調整可能) |
ワイドスクリーンモード | ON / OFF(21:9 / 32:9) |
3D表示モード | ON / OFF(SBS形式の3Dビデオ再生時のみ:Full / Haff) |
サイド表示モード | ON / OFF(右側 / 左側) |
画面ブレ補正モード | ON / OFF |
自動調光クロミック | ON / OFF |
瞳孔間調整 | +6から−6の12段階調整 |
Beam Proがあればさらに快適
そしてさらに、別売りのコンパニオンデバイス「XREAL Beam Pro」と組み合わせれば、なんとアプリ自体の操作もAR空間上で完結。
操作のたびにスマホの画面をチラ見する必要がなくなるのでシンプルに楽だし、VRゴーグルのパススルー映像と違い、周囲の景色が文字どおり”リアル”なので、没入感も飛躍的に向上します。
XREAL Beam ProのUIイメージ




この直感性だけでも「XREAL One Proを選ぶ理由として十分」と感じてしまうほどの完成度。忖度なしに今のARグラスの到達点とも言える仕上がりだと思います。


自分で撮って、すぐ見れる。3D映像にも対応
エンタメ機能として面白いのが、SBS(サイド・バイ・サイド)形式の3D映像への対応。
これはXREAL One Proに限った機能ではないのですが、YouTubeにある3Dコンテンツはもちろん、先ほどのBeam Proで撮影した「家族やペットとの思い出を立体映像として残しておき、あとからAR空間で振り返る」という、これまでになかったARグラスの楽しみ方を実現してくれます。
SBS形式の3D画像


参考までに、Beam Proで実際に撮影した3D動画を置いておくので、よかったらご覧ください(立体視ができるなら肉眼でも3D視聴可能)。



ARと3Dの組み合わせって想像以上に未来感があって楽しいので、XREAL One Proを手に入れたら、ぜひ一度は試してみてください!
XREAL One Pro の気になった点


そんな感じで使い勝手や体験の質に関しては大満足できること請け合いのXREAL One Proですが、実際に使ってみるといくつか気になった点も上がってきます。
いずれもOne Pro固有の問題ではないのですが、導入時の参考なれば幸いです。
アマプラのiOSアプリで視聴制限がかかる
これはあくまでiOSのプライムビデオアプリに限った話ですが、実際に以下のような外部出力制限がかかり、視聴ができなくなることがありました。


ブラウザから再生したり、Androidアプリでは問題なく視聴できるため、おそらくiOSアプリ固有の制限だと思いますが、同じような環境の人は結構残念に感じるポイントかも。



YouTubeやNetflixなどはiOSアプリでも再生可能だったのに…
今回のケース以外でも、基本的に「USB-C接続専用の外部モニター」であるARグラスは、USB出力に制限のあるデバイス(例:Nintendo Switchなど)では使えない※ので、そのあたりは事前に確認しておいた方がいいかなと。
※別途HDMI変換アダプタなどで対応は可能
ケーブルが少し気になる
あとやっぱりケーブルの取り回しはちょっと気になります。
基本的にスマホでの映画視聴など静的な用途ではほぼ気にならないんですが、MacBookとの接続など作業を並行しながら使うようなシーンでは「無線で繋ぎたい…」と、たびたび考えてしまいます。


とはいえ、無線化することで発生するであろう遅延や通信安定性の問題、重さやバッテリー管理の手間などを考えると、現時点ではトレードオフとして割に合わないんだろうなとは思います。
無線に慣れた現代っ子のワガママかも知れませんが、XREALの開発力ならいつか実現してくれそうですよね。
まとめ


というわけで今回は、XREALの最新ARグラス「XREAL One Pro」をレビューしてみました。
ディスプレイの美しさや映像の没入感はもちろん、装着感・操作性・音質といった体験のすべてがバランス良く整っていて、「さすが業界シェアNo.1ブランドのフラッグシップモデル」という素晴らしい完成度に仕上がっています。
- スマホやPCの画面をもっと大きく、没入感ある形で楽しみたい人
- 自宅やカフェで“自分だけのシアター空間”をつくりたい人
- 外部モニターなしで作業スペースを広げたいノマドワーカーやクリエイター
- YouTube・Netflixなどの映像コンテンツを、より自由なスタイルで視聴したい人
- 未来のテクノロジーに触れながら日常の生活をアップデートしたい人
XREAL Oneと比べて約1.5万円の価格差は少し悩みどころですが、そこさえ目を瞑ればすべての面で過去のモデルを上まわる上質なAR体験ができるのは間違いありません。
まもなく発売されるこの未来の視聴スタイルを体験したいなら、ぜひ公式サイトからXREAL One Proをチェックしてみてください。
以上、カナちひ(@kana_chihi)でした。
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